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研究内容

機能材料を用いた各種のデバイス(素子)は、新しい科学技術構築の鍵を握るものとして、今後益々発展が期待されている。機能材料の物性はバルクのみならず表面・界面の構造や組織などに依存し、デバイス構築のためにはそれら諸因子の制御・最適化が最も重要である。本教育分野では、以下に示す新しい化学的機能デバイスの創製を目指し、新しい機能材料の設計・合成から構造物性等の解析、デバイス構築と特性評価にいたる広い範囲で検討を行い、研究を展開している。

【1】環境保全のための機能性材料・デバイス

私たちは、今日豊かな生活を送っているが、その裏で様々な環境問題が深刻化しつつあることも事実である。私たちの生活環境をまもり、環境問題を解決するためには、汚染物質の排出をできるだけ低減したり、浄化するような新しい技術や化学プロセスの開発が重要である。また、それと同時に汚染物質の排出や汚染の実態を容易に計測できるセンサが開発されて初めて有効な解決法が見出されるものと思われる。  環境計測用ガスセンサは環境問題解決のための重要な要素技術の一つであるが、その目的としては、環境汚染物質の排出源における浄化処理や監視、比較的広範な地域での環境計測が挙げられる。そのためセンサには、小型かつ安価で、リアルタイム計測によるフィードバック制御が可能であることが望まれる。当研究室では、まったく新しい大気環境保全用ガスセンサとして以下のような取り組みを行っている。

(1) NOx、CO2、N2O等の環境汚染ガス用の半導体および固体電解質を用いた高性能ガスセンサ
(2) 固体電解質とトランジスタを組み合わせた新規なガスセンサ

【2】エネルギー貯蔵・省エネのための機能性材料・デバイス

酸素ガスの電気化学的還元は、金属−空気電池、新型食塩電解、燃料電池などの種々のエネルギー変換デバイスの基本であるが、充分に満足できる酸素還元電極はまだ得られていないのが実情である。当研究室では、リチウム電池よりもエネルギー密度が高い金属−空気電池、あるいは画期的な省エネルギー型食塩電解の実現を目指して、低過電圧で高電流密度が得られる酸素還元電極の開発を行っている。 また、酸素富化空気は省エネルギー、排ガス量の削減など点で注目されており、新しい酸素富化技術が必要とされている。当研究室では、混合導電性を示すペロブスカイト型酸化物を酸素分離膜として用いることにより、電極や外部回路を必要とせず、酸素の濃度勾配のみで簡便に酸素を分離できることが可能であることを見出しており、新規材料探索および最適分離膜設計を行っている。

(1)ペロブスカイト型酸化物を用いた高性能酸素還元電極 (参考:金属空気電池の試作



(2)ペロブスカイト型酸化物を用いた酸素選択分離用混合導電体膜


【3】新しい機能性材料・デバイス構築のための基礎基盤研究

上述のような機能デバイスを開発するためには、材料探索、材料合成法、構造・組織制御、物性評価、数値シミュレーションなど新しい取り組みが不可欠であり、そのため以下のような基礎基盤研究を行っている。また、これまでの知見を基に新しい機能材料・デバイスの開発も行っている。

 (1) 金属酸化物ナノ微粒子を用いた薄膜ガスセンサの研究
 (2) 半導体ガスセンサのガス検知メカニズムに関する研究



本研究分野で取り扱う材料の物性による分類

物性 材料 応用 形態
1) イオン導電性 Naイオン導電体(NASICON)、
O2-導電体(BiCuVOx)、
無機塩(硝酸塩、炭酸塩)
高性能ガスセンサ、
マイクロセンサ、
環境ガスセンサ
厚膜、焼結体
2) 半導性 酸化物半導体
(SnO2、WO3など)
においセンサ、
有毒ガスセンサ
焼結体、厚膜、
薄膜、超微粒子
3) 混合導電性 ペロブスカイト型酸化物
(BaFeO3、LaCoO3)、
酸化物(WO3、Bi2O3)
選択的ガス分離膜、
センサ電極、
電気化学表示素子(ECD)
厚膜、シート
薄膜、焼結体
4) 電子導電性 ペロブスカイト型酸化物
(LaMnO3、LaNiOO3)、
貴金属、カーボン
新型2次電池、
センサ電極、
食塩電解工業、基板
超微粉末、
薄膜、粉体
5) 絶縁性 酸化物(Al2O3、SiO2) 担体、
センサ基板
粉体、焼結体
(分析手段) XRD、FE-SEM、EPMA、TEM、XPS、FT-IR、ESR、XRF、AFM、GC-MS、TG/DTA、ガスクロなど
(測定手段) センサ応答評価装置、ポテンシオスタット、エレクトロメータ、インピーダンスアナライザなど
(薄膜形成技術) スパッタリング、真空蒸着、スピンコーティング、スクリーン印刷など