研究内容

宇宙、航空、運輸等の各種産業の基盤をなす機械や機器は、先端的な機能を持つ金属、セラミックス及び半導体等の結晶性材料により構成される。結晶性材料の力学的・機能的性質などの諸特性は、材料を構成する結晶粒の大きさ、方位及び配向性や結晶粒同士の界面となる結晶粒界の性質といった内部組織に強く影響を受ける。そのため、結晶性材料の諸特性と内部組織の関係をあきらかにすることが、構造材料(ものを形づくる材料)や機能材料(電気的性質など物理的な特性を利用する材料)の開発には不可欠である。

本教育分野では、このような力学的性質や機能的性質を決めている因子を原子やイオンの配列、転位と呼ばれる線欠陥の運動特性、界面の構造などに分類し、優れた特性をもつ新しい基盤材料を作り出すための基礎研究を行っている。

 

最近の研究テーマ

研究業績等

結晶性材料の力学特性と内部組織

発電機材料等で用いられる高温構造材料をよりよいものにするためには、高温における材料の特性を知る必要がある。中島・光原研究室では、結晶性材料の高温変形機構の解明とその内部組織との相関を明らかにし、優れた特性を持つ材料設計の指針を得ることを目的として各種力学試験機や透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡を用いて研究を行っている。

電子顕微鏡法を用いた結晶性材料のナノ構造解析

結晶性材料の諸特性は、各結晶の方位や粒界構造、析出物の分散状態、および転位組織等のナノ構造に強く影響を受けることが知られている。そこで本教育分野では、結晶性材料の粒界での原子配列を高分解能電子顕微鏡法により直接観察し、その原子構造と各種特性や相変態現象等の諸現象との関係を、分子動力学法等のシミュレーションを絡めながら明らかにしている。また、析出物の分散状態や三次元構造を走査型透過電子顕微鏡法や三次元トモグラフィー法を用いて詳細に解析している。さらに、半導体デバイス材料の信頼性に影響を及ぼす転位の生成機構について透過電子顕微鏡法により明らかにしている。

結晶性材料の表面・粒界エネルギーと原子・電子構造

結晶性材料の力学的性質や電気的性質などの諸特性は各結晶の方位や結晶粒界の影響を強く受けることが知られている。そこで本分野では、結晶構造の異なる様々な物質の表面・粒界エネルギーとその原子・電子構造を計算機シミュレーションにより明らかにし、実際に存在する結晶粒界の原子構造を透過型電子顕微鏡により約100万倍という非常に高い倍率で直接観察している。