電界誘起酸素エッチングによるタングステン針先端の先鋭化
電界誘起酸素エッチング法を用いて、タングステン針の先端を原子レベルで先鋭化できるようになりました。

 電界イオン顕微鏡(図1参照)は尖った針の先端を原子レベルで観察することのできる手法です。
針に高い正電圧を印加し、10-3 Pa程度のヘリウムガスを導入すると、特に尖っている
場所(ステップエッジなど)でヘリウムがイオン化します。ヘリウムイオン(He+)は電界によって
スクリーン側へ飛んでいき拡大像が観察されます。図1はタングステン針の電界イオン顕微鏡像です。
図1.電界イオン顕微鏡の概念図
電界イオン顕微鏡像観察時に酸素を導入することにより、タングステン針の先端を先鋭化する
電界誘起酸素エッチング法を見出しました。図2(a)-(e)は先鋭化の過程を示す電界イオン顕微鏡像です。
図2(a)の曲率半径は10 nmで、図2(g)の点線のように針先端は半球状です。
ここへ、酸素を導入すると、図2(b),(c),(d)と次第に針先周辺部が削られていきます。
最終的には図2(e)のように針先端の曲率半径は3 nmに先鋭化しました。
図2(f)はこの針先の剛体球モデルです。
針先を横から見ると図2(g)の赤線のように円錐形に先鋭化できていることがわかりました。
【映像】(ファイルサイズが大きいのでご注意ください)
【論文】
Field-assisted oxygen etching for sharp field-emission tip. Surf. Sci. 620 (2008) 2128-2134. 
Field emission from W tips sharpened by field-assisted nitrogen and oxygen etching. e-J. Surf. Sci. Nanotech. 6 (2008) 152-156. 

【解説】
電界誘起酸素エッチングによるタングステン針の先鋭化と電子放出. 表面科学29 (2008)11月号.
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