金属表面上の複雑なアルカリ吸着構造の決定
 アルカリ金属は触媒反応の促進剤として知られています。表面における
アルカリ金属原子の振る舞いを明らかにするために、低速電子回折を用い
て表面構造を調べました。銅単結晶表面 Cu(001) に、アルカリ金属の1つ
であるリチウム原子を蒸着し、1原子層形成までの表面構造変化を観察し
たところ、下図のような低速電子回折パターンが得られました。
Li の被覆率に対する LEED パターンの変化
Surf. Sci. 279 (1992) 89.
 180 K でリチウムを蒸着したときに現れる c(2x2) などのパターンは、
銅の表面にリチウムが吸着した構造に対応しています。これに対して、300 K 
でリチウムを蒸着したときに現れる (2x1),(3x3),(4x4) パターンは単純な
吸着では説明のできないパターンでした。そこで、これらの構造を低速電子
回折強度解析によって明らかにしました。
 左から Cu(001)-(2x1)-Li, Cu(001)-(3x3)-Li, Cu(001)-(4x4)-Li 構造。
論文は Surf. Sci. 292 (1993) L811, Phys. Rev. B51 (1995) 1969, 
Phys. Rev. B52 (1995) R11658.

 リチウム原子は単に銅の表面に吸着するのではなく、銅原子との置き換わり
を伴った構造を形成していることがわかりました。
 さらに、Cu(111), Cu(110) 面上のリチウム、Ag(001) 面上のナトリウム、
Ni(001) 面上のリチウムについても同様の構造が形成することを構造決定しま
した。現在、この様な構造が形成する理由を明らかにしたり、これらの構造の
物性を調べたりするための研究を行っています。
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